今年一発目の観劇は、稲垣吾郎さん主演の
「No.9−不滅の旋律−」

ベートーヴェンの半生が描かれる。
実は、この作品を観るのは3回目。
きっかけは、アンサンブルキャストとして兄が出演していたから。
今回も兄の出演があったので、タイミングもよく観に行くことができました。
2回目はコロナ禍もあって、配信で観ました。
それもあってか、今回再び生で、しかもめちゃくちゃいい席で観ることができて、舞台の持つ力に圧倒されました。
よかったこと、印象に残ったこと、感想などをつらつらと書かせていただきます。
芸術の持つ力
1番心に残ったのが、舞台や音楽、芸術の持つ唯一無二の力。言葉では表せない、心や感情に直接響いてくるもの。
ベートーヴェンの代理人として働く剛力さん演じるマリア(唯一のオリジナルキャラらしい)が、散らばった楽譜を拾い集めて、その楽譜を見た時にベートーヴェンに言った台詞。
「今日でやめようと思ってたのに。
ずるい。どうしてこんな曲書くんですか・・・」
ベートーヴェンの作った音楽のもつ力によって繋ぎ止められた2人の関係。
そう、リンクしたのが「ずるい。」
これだから舞台や音楽、芸術から離れられない。
そして、これらが言葉では説明できる範疇に収まらないことへの、芸術という分野の無限の可能性ともどかしさ。本物に触れないと分からない。
そして、また本物に関わりたいと欲が掻き立てられた。私の芸術鑑賞後あるある。
第九の魅力
タイトルにもなっている第九。この作品の制作秘話的な部分もあった。
敵国であるフランス兵士がベートーヴェンのオペラの上演時に、態度が悪かったり、ヤジを飛ばしたりで散々な公演に。
その仕返しにと、酒場で歌っているフランス兵たちに「これはどうだ?」とベートーヴェンが楽譜を渡すと、みんなで楽しく歌い出し、歓声が上がる。
これが第九の元になった「歓喜の歌」だった。
オペラを侮辱されたフランス兵たちに、音楽で屈服させたのであった。
音楽は国境を越えても伝わり、音楽の持っている力の可能性が広がったシーンだった。
しかもそれを、後に交響曲に合唱を入れることで完成させるとは。そして音楽が貴族以外にも広がっていくことに。どこをとっても革新的。
役者 稲垣吾郎
役者としての稲垣吾郎さん、というか、現代に生きるベートーヴェンの力に圧倒された。
耳が聞こえなくなってくる苦悩と、昔に親から受けた仕打ち、そして自分のこだわりの強さによって周りが見えなくなり荒ぶる姿。
1回目はこの姿が特に印象的だった。
今回の公演での中で100回を迎えたこの作品。
何よりも驚いたのが、稲垣吾郎さんはじめ、多くのキャストがシングルキャストで公演を続けてきていること。(今回からついにスウィングキャストがついたそうです。よかった…)
それを1人で演じ続ける体力とメンタル。とても50超えた人には見えなかった。若い!
自分も観るのは3回目だったので、ある程度話の流れがわかっていたのもあったのか、とても丁寧に最後に向けて話が整っていくように見えた。
稲垣吾郎さんもいい意味で昔と比べて荒ぶる中にも自分という部分を持ちつつ、丁寧にベートーヴェンとして変化していっているように見えた。すごい。
他にも
魅力的な役者さんがたくさんいました。
まずは、マリア役の剛力さん。
どっしりした佇まいと落ち着き。
後に調べたが、とても年下には思えなかった。大女優。
最後、歓喜の歌みんなと一緒に歌わんのかい!と思ったけど、後見人としてそばで見ていたんやなと納得。
メトロノーム(補聴器も?)を発明したメルツェル役の片桐仁さん。
元コントユニット、ラーメンズの人。
言動や見た感じがとてもコミカル。
この人が出てくると自然と笑えてくる、壮絶な物語の中になくてはならない存在のように思えました。
ラーメンズも面白いので、ぜひ。
そして、なんと言ってもアンサンブルキャストの皆さん。
タイトルでもある第九の歓喜の歌を歌い上げるには、このアンサンブルキャスト無くしては成立しない。
おそらく皆さん声楽科出身かな?歌だけではなく、街の人々や警官としても。
そして役を演じるだけではなく、シーンの移り変わりで小道具を回収したり、物を動かしたりを流れの中で器用にこなしていく。
とくに印象に残ったのが、シーンの移り変わりの時に、舞台上にあるピアノを夫婦が歩きながらスーッと動かすところ。
あまりにも違和感ない動きが少しシュールで(悪目立ちではなくいい意味で!)面白かった。
後に兄にその話をしたら、まさかの当人でした。天晴。笑
役者ではないですが、音楽担当の2人のピアニスト。
劇中のベートーヴェンの曲のピアノは全て生演奏。それだけでも贅沢。
そして、上手下手に分かれて離れているとは思えないほどの息のピッタリさ!
欲を言えば、オーケストラも生で聴けると最高だろうな…
他にも、書き出すとキリがないのでこの辺で。
生でプロの芸術に触れることができた、幸せな時間でした。
また何か観劇行きたい欲が…
