構成力その1〜編曲篇〜

編曲編とすると、字面が気になるので篇という漢字を使うことに。

様々な切り口から構成力のお話を、私の経験からお話させていただきます。

記念すべき第1回目は編曲篇。

これまでの編曲(主に合唱)をもとに、構成を考える時の頭の中を、自分なりに紐解いていこうと思います。

編曲とは

編曲は、もともとある曲を別の形や自分のテイストを入れてアレンジすること。

元々ピアノの曲だったのをオーケストラにアレンジしたり、オーケストラを歌にしたり…

と例に挙げた一つ目はムソルグスキーの「展覧会の絵」。ちなみに二つ目は平原綾香が歌う「ジュピター」

※ここからは本編に関係ないので読み飛ばしてOK

ムソルグスキーの「展覧会の絵」はもともとはピアノ曲だったものを、約50年の時を経て、ムソルグスキーの死後、ラヴェルがトランペットから始まるオーケストラで編曲したものが有名になったというもの。
聞いたことのあるのはおそらくオーケストラ編曲の方。

平原綾香の歌う「Jupiter」はホルストの「惑星」という組曲の中の一曲「木星」の中間部のゆったりした曲に歌詞をつけたもの。
他にも、キャンプファイヤーでよく歌われる「遠き山に日は落ちて」はドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」の第2楽章の主題に歌詞をつけたもの。

以上。クラシック豆知識のコーナーでした。

編曲から見る構成力

さて、ここからが本題。

自分が編曲した曲をもとに、どのように構成して(組み立てて)いったのかをまとめてみました。

「荒城の月」

これは、宝塚ゾリステンという合唱団で副指揮者をしていたころに編曲したもの。

まず初めに、演奏会のテーマが【花鳥風月】に決まり、花・鳥・風・月にちなんだ合唱曲を集めることになりました。

既存の曲はもちろんありますが、なにせ男声合唱の楽譜が少ない分、花鳥風月にあった曲(尚且つやりたい曲)が意外となかったのです。

そこで、常任指揮者と副指揮者2名の計3名で、2曲ずつ演奏会用に編曲することになりました。(今思うと皆さんかなりハイスペック←自分も)

そこで選んだ一曲が瀧廉太郎作曲の「荒城の月」。

初めに考えたのが、やはり男声合唱や歌い手、曲の魅力を引き出すために、無伴奏(アカペラ)にしようということ。

次に、同じメロディで4番まであるので、ずっと同じ調子で歌っていても退屈なので、4つにどう変化をつけていくのか。

どこかでソロ(1人で歌う部分)と転調は入れたいなと思いながら、編曲スタート。

一度聞いていただけると、後の内容も入りやすいかも。(再生回数よ、のびろ。)

1番は、男声合唱の醍醐味であるユニゾン(一つの旋律を複数人で歌う)から入り、メロディの他は歌詞をつけずにハモっていく。

まずはシンプルに曲、旋律の良さを引き立たせる!

2番は、この合唱団が毎年ポリフォニーの曲をしていることもあり、ポリフォニーチックにアレンジ。

ポリフォニーとは、各パートが別々の旋律を歌っていきながらも、ハーモニーを奏でるというもの。

反対の言葉はホモフォニー。いわゆる同じリズムでそろえてハモるやつ。

編曲に取り入れるのは初めての試みだったが、パズルのようでハマっていくと楽しい。

3番はソロ+四部合唱。

演奏会では指揮を常任指揮者にしていただいたこともあり、ソロを担当させていただきました。

4番、の前にここで転調。

さらに!ここでアレンジポイント!

編曲にオリジナリティーを出すための一工夫。

荒城の月の作曲家である瀧廉太郎は、「さくらさくら」の作曲もしている。

そこで瀧廉太郎繋がりで、さくらさくらのメロディを1フレーズ組み込んでみました。(歌詞「あさひににおう」の部分)

4番は転調後でメロディ部分も高く、全体として広がりを出しつつも、最後はしっぽりと。

終わり方は、作曲家の信長貴富さんのアレンジ(ノスタルジア)に影響を受けたような…

4番あるというのが、個人的になかなか中途半端な数字だったので、飽きがこないか心配だったが、うまく変化を入れることで全体としてなかなかまとまりのある仕上げになったかなと。我ながら上出来。

「ハナミズキ」

もう一曲。花鳥風月の中から。

この曲はもともとの曲の雰囲気をそのままに、かつ男声合唱の良さを最大限に引き出せるようにと考えて編曲しました。

やはりピアノ伴奏いるだろうと思い、伴奏つき初編曲に挑戦。

といっても、既存の楽譜をかなり参考にさせていただきましたが。

この曲のアレンジは先ほどの荒城の月とは違い、逆算で作っていきました。

最後の大サビの入りをいきなりアカペラにすることで、男声合唱の重厚なハーモニーでインパクトをつけたいなというところからのスタート。

となると、初めは1パートから歌い、最後に向けて徐々に声部を増やして、大サビに持っていく運びに。

また、大サビは縦を揃えてバシッとハモらせたかった(これぞホモフォニー)ので、それまではそうならないように控えたり…

伴奏もアレンジしましたが、何せ自分が弾けることしか楽譜にかけないので、かなりシンプルに。

もとの曲が完成されているので、あまり影響なかったのかなと。

あと影響といえば、私は久石譲のピアノ曲が好きな(あと弾きやすい)こともあり、最後の方はそれっぽいアレンジに…

アカペラ

構成力からは少し離れるかもですが、編曲で懐かしいものを思い出したのでおまけとして…

大学卒業式の日、学部ごとに謝恩会があり、そこで余興をすることに。

しかも、今まで同じ学部でも話したこともなかったメンバーもいる中へ。

曲は「銀河鉄道999」(ゴダイゴの方)と「卒業写真」。後に、選曲が教授たちから大絶賛でした。

何が印象に残ってるかというと、

メンバー5人、男声2女声3、ボイパ(ボイスパーカッション)もあり

という、男声合唱ばかりの私には初めての空間。

編曲は流れで自分がやるよーということに。軽い

「銀河鉄道999」はボイパありで。

私メロディ、ボイパ、女声3ハモりの編成。

編曲は正直、めちゃくちゃ簡単だった。

ボイパがリズムを刻んでくれるので、ハモりは和音でのばして歌うだけで形になる。ボイパすげー

ということで、2曲目の「卒業写真」は男女5声でアカペラ。

女声が入ると、こうも幅広く音を組むことができるのかと、混声合唱の魅力を感じました。(ただしハモり具合でいうと、男声のほうがハモりやすい)

そんなこんなで、少し難易度高めの譜面が完成。

構成でいうと、1曲目でインパクトをあたえて、2曲目でしっとり聴かせるという、なんともいい流れの選曲となりました。

動画、どこかに残ってないかなぁ…

おわりに

と色々書いているうちに、また編曲したい、歌いたい欲が出てきました。

といっても、合唱やアカペラからは離れた身故、いつのことになるやら…

余裕ができたら、1人アカペラチャレンジもしてみたいなと思いつつ、気持ちをしまっておこうと思います。


いかがでしたでしょうか?

全体の大きな流れを違和感なく構成していく力。

ただ、その中にも自分らしさ(自分のこうやりたいと思う気持ち)を忘れないように。

さあ、第2回は運動会篇。乞うご期待!